戦世(いくさゆー) 495
金武町並里 仲間上等兵の墓 / 前篇
忘れ去られた軍神(その3)
霊園の一隅にひとり佇む、仲間上等兵の墓
本島北部に於ける戦没軍人のお墓は、幾つかの残存を資料の上に確認している。 但し、何れもが昭和時期に編纂された資料であり、発行元の資料館を尋ねても、往々にして的確な返答を得ない。 その様な中で、この金武町に於ける戦没軍人のお墓は、比較的新しい資料、平成15年に発行された、県立埋蔵文化財センターの報告資料を参考とする事ができた。
しかし資料とは云っても「故 仲間上等兵の墓」と記され、番号と共に地図上に点が附されているだけである。 その地図も2万5千分の1の地形図を更に4分の1にした縮尺であり、そこに漠然と推定半径30メートル程の点である、広大な霊園の中で対象物に行き着くか不安を覚えた。 しかし、何が導いたかは判らないが、案内もない墓地の中、思いの外に早く辿り着く事が出来た。
仲間上等兵の墓
霊園の中に居並ぶ家型墓とは趣きを異にし、恰も石碑にさえ見える。
後方より遠景
木立ちの傍らに在って目立たない事もあるが、他の墓とは距離を置き、孤独に佇んでいる。 かつては、人々が最敬礼をしたであろう墓碑の前も、供花もなく草原が広がる。
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