戦世(いくさゆー) 146

2011年04月22日 12:00

南風原町喜屋武 南風原陸軍病院壕跡 1
南風原町の南東に位置する、喜屋武集落の北側。
 緑濃き黄金森に擁かれて、今も眠る陸軍病院壕。

南風原町の南東、喜屋武集落の北、兼城の南に、緑を湛える丘陵が据わっている。 南北に長い丘陵は、北寄りに高峰が控え、戦前は△86.6メートルの標高に達したが、今は80メートルの標高で、基準点も置かれていない。 それは沖縄南部全域に共通する、鉄の暴風に因るものであろうか。 高峰より緩やかな嶺は南方へと下り、その長さは500メートルに亘る。
その嶺の東西懐へ、数多の壕を構築。 掘削には第32軍防衛築城隊(球1616)が指導にあたり、徴用された県民の手によって行われる。

10.10.空襲に病舎を失った 沖縄陸軍病院(球18803)は、同時に多くの医療機器、医薬品をも失う。 そして同夜、那覇/開南より、黄金森隣接の南風原国民学校へ移動。 以降の国民学校は、昭和20年3月23日の上陸前空襲で灰燼に帰すまで、南風原陸軍病院として使用される。 同時に黄金森では、敵の上陸も必至と見られ、横穴壕の構築が急ぎ進められていた。


 南より望む黄金森
県鉄/糸満線の軌道跡、現在の南城市/大里高平近辺、「幸之一カーブ」の北東辺りから望む黄金森。 左手の低く長い嶺に、多くの病院壕が集中する。


 喜屋武驛跡より望む黄金森
県鉄/喜屋武停車場跡にあたる、県道82号線/南風原道路の高架下より、黄金森、喜屋武集落へと続く旧道。 戦前は、駅前通りを行き来する人々が、戦火に包まれて後は、屍の道標が続いた事であろう。

地図はこちら ※撮影位置※
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