戦世(いくさゆー) 318

2012年10月13日 12:00

糸満市糸満 山巓毛公園 2
糸満ロータリーの北東に位置する顕著な岩山。
整備された都市公園、その片隅には戦争遺跡が横たわる。

国旗掲揚台と改修記念碑、何れも弾痕の刻まれた戦争遺跡として山巓毛の一隅に遺されている。 しかし、防空監視哨跡の基礎部分を含め、その由来に関する説明は何等ない。
足元に横たわる「山巓毛改修記念碑」、その裏面には「昭和七年 中秋建立」、更に「白銀神社改築期成會」と刻まれ、その建立時期と併せ、同時期に近隣の白銀堂、その大改修が行われた事が判る。

山巓毛改修碑は敵上陸の昭和20年4月1日以降、附近に布陣した第24師団によって破壊される。 石碑部分は台座から切り離され、斜面の下に落とされていた。 その理由は「攻撃目標」とされる為。 但しそれは、直接に山巓毛へ砲門を向ける訳ではない。

糸満漁師が舟固めにも用いた顕著な岩山、それは洋上の敵艦からもまた同様。 石碑を基点として「〇〇度 ‐ 〇〇メートル」と連絡すれば、彼我の座標は容易に特定される。 山頂の顕著な単一物標を潰し、その砲撃精度を低下する目的だったのであろう。 しかし敵の砲撃は「点」ではなく、物量を以てして雨の如く 「面」で襲って来た。 そこに些少の砲撃精度低下など、何等問題にしなかったであろう。

 山巓毛改修碑(2009年1月撮)
「御大典 記念 山巓毛改修碑」と刻まれる表面。
台座脇に横たえられているが、かつては斜面(現在のバリアフリー通路)に落とされていた。


 監視哨跡から掲揚台と改修碑
現在は西、龍宮神(ルーグシン)の拝所となった防空監視哨基礎、その向こうには掲揚台、改修碑が見える。

※地図は
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