2011年01月28日

大和世(やまとゆー) 117

南城市知念久手堅 ウローカー砲台跡 / 9
知念埼砲台、通称ウローカー砲台の指揮所、
 重砲兵第7聯隊 第2中隊、知念地区隊の本部壕跡 / その2。

公園の柵を抜けて直ぐ、壕口は藪の中で、岩陰に半身を隠すが如く開口する。 壕口より内部の様子を覗うまでもなく、断崖に開く北側の開口部からは、冬の海風が吹き抜けて来る。 壕口を潜り入れば、遥か彼方には北側の開口部が望める。 懐中電灯の光輪は、崩落岩等に遮られる事もなく、その方向へと伸びる。 そして壁面には、ツルハシに拠るものか、幾重もの掘削痕が、光輪の中に浮かび上がる。 浅く、そして一面に刻まれたそれは、壕の強度を婉曲に伝えると共に、掘削の労苦は如実に語り掛けてきた。

南側の壕口は、入口部分こそやや狭いが、それでも幅1メートル、高さは1メートル余り。 壕口部位を躱れば、高さは2メートル近くに広がり、頭上に気を配る必要もなく立ち歩ける。
北風に通気は充分為され、堅牢そうなニービの岩盤、そして万が一の際、走れる程の広い通路と、入壕には申し分がない。 沈滞した高湿の雰囲気の中、いざリ入る様な壕と比べ、安心して立ち入れることか。 とは云へ、10数メートルを進入した辺りには崩落土砂。 どうやらニービの地層の境い目に、壕が掘削されている模様。 やはり管理壕ではない事もあり、払うべき注意は怠りなく。

 壕口至近の通路
多少狭隘な壕口を躱ると、直ぐに開ける。 岩の裂け目を掘開の起点としたのか、この入口部分のみは、掘削痕が左壁面にしか見られない。
大和世(やまとゆー) 117

 崩落箇所
天井部位は一様に掘削痕が刻まれ、ニービの地層に見られるが、一部に地層の裂け目、境い目を貫通しており、土砂が崩落、或いは流れ出した様な箇所がある。
天井、そして壁面の左右で、地質の異なる事が見て取れる。
大和世(やまとゆー) 117

※地図は ウローカー砲台跡 / 8 追記に記載。


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