2009年11月27日

忘れられた激戦地 12

山ゆかば草むす屍 12
西原町某所、丘陵の西面中腹、掘り込み墓を用いた壕。

前記の壕がある丘から、歩いて10分程の丘陵。 南北に嶺の続く丘陵には、昔からの墓地が数多く残る。
コンクリートや石積みをほとんど用いていないが、未だ現役の掘り込み墓が散在し、移転などで放棄された墓穴も方々に見られる。
古墓として見過ごしてしまいそうな墓穴、其の中の一つに、沖縄戦時に使用され、遺棄された壕があった。

入口は泥土による埋没、或いは隠蔽の為に小さくされ、30センチ四方の口を僅かに開いていた。 前庭の形跡が一切見られない事から、恐らくは後者であろう。
同行の有志が上半身のみを押入れ、懐中電灯で内部を確認した処、泥土に半没した飯盒蓋と一升瓶の破片を発見、内部を確認する事となった。

入口は四角に整形され、正面と左右には厨子甕を祀る棚が設えており、一目で「掘抜き型の墓」のそれと判るが、泥土の流入、堆積により、かつての床面は埋没している。 又、壁面や祭壇は染み出た雨水と共に鍾乳化し、遺棄された物、特に飯盒の蓋が顔を出していなければ、それと気付く事はなかったであろう。

写真① 入口からの状況
四角形に整形された入口と祭壇、古墓である事が判る。
内部の泥土堆積状況に比べ入口が狭く、土砂に埋め、意図的に狭くしたものと思える。
忘れられた激戦地 12

写真② 内部状況
多くの遺留品が掘り出された、右側の祭壇。
壁面、棚の上面も鐘乳(カルシウム)に覆われている。 
左下の黒い物体が、飯盒蓋と割れた一升瓶。
忘れられた激戦地 12


タグ :西原町

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