2019年08月31日
沖縄に潰えた軍旗 131
歩兵第22聯隊 131
通称号 山3474部隊、第24師団 歩兵第22聯隊の軌跡
(殊闘 / その18 最終章)
昭和20年5月28日の日没後、軍旗(聯隊主力)は島尻へ向け弁ヶ岳を発った。 首里・弁ヶ岳の放棄に先立ち、聯隊長が将兵へ軍の撤退命令を伝えると、将兵の士気は更に低下したと云われる。 その首里には第1大隊が残置隊となり、師団の退却援護にあたった。
第1大隊は、石嶺を撤退の後に予備隊となり、新川にて戦力の回復に努めていた。 兵力は石嶺からの生存者、長以下10数名に後方部隊からの転属者、復帰将兵を加え、約40名の編制となっていた。 しかし手元の得物は軽機と重擲弾筒数筒に過ぎず、実力1コ小隊程度の戦力であった。 加えて多くの兵士は傷を負い、機能の停止した野戦病院から、命からがら脱出して来た者もあり、幸地・石嶺の戦線で敵の先鋒を破砕した勢いはなかった。
聯隊主力は首里撤退後、師団の第2収容部隊の任を負う。 聯隊は、首里包囲を企図する侵攻の間隙を抜け、那覇市街東方の真和志と兼城の間を南下したと考えられる。 目的地は東風平(村)の友寄、西方の饒波川の線にかけて収容陣地を占領する事であった。 しかし兵力の枯渇した状況下、自ら散兵線を築くは能わず東西に連携する部隊もなく、実際は友寄を頂点とした警戒陣地であったと考えられる。
同日、第62師団(石部隊)の残存兵力により、退却攻勢が実行された。 与那原より宮平まで西進した敵に対し、師団の歩兵と所在部隊(特設聯隊等)、及び軍砲兵の火力を集中し、与那原以北へ撃退する軍の計画であった。 しかし降雨と泥濘は、疲労の極みに在る部隊の機動を一層困難なものとし、進出は意の如くならなかった。 また第5砲兵団司令部(球9700)は津嘉山に位置し、この頃には各砲兵部隊との通信連絡も容易ではなく、適時適切な火力支援は困難であった。
退却攻勢は軍の企図には遠く、敵の西進を日1日、貴重な1日を稼いだのであった。
聯隊の退路
友寄の西方、饒波川北岸の宜次附近より望む首里・弁ヶ岳方面。
画像の中程、右へ横たわるのは津嘉山チカシモ―、津嘉山小学校が右端に見え、左手遠方には新川の焼却場の煙突と配水池など、弁ヶ岳附近が望める。
直線で5.5キロの距離だが、降雨泥濘の中、擾乱射撃を避け、完全軍装で傷を負った戦友を支えての機動は、非情かつ困難であったと想像される。

通称号 山3474部隊、第24師団 歩兵第22聯隊の軌跡
(殊闘 / その18 最終章)
昭和20年5月28日の日没後、軍旗(聯隊主力)は島尻へ向け弁ヶ岳を発った。 首里・弁ヶ岳の放棄に先立ち、聯隊長が将兵へ軍の撤退命令を伝えると、将兵の士気は更に低下したと云われる。 その首里には第1大隊が残置隊となり、師団の退却援護にあたった。
第1大隊は、石嶺を撤退の後に予備隊となり、新川にて戦力の回復に努めていた。 兵力は石嶺からの生存者、長以下10数名に後方部隊からの転属者、復帰将兵を加え、約40名の編制となっていた。 しかし手元の得物は軽機と重擲弾筒数筒に過ぎず、実力1コ小隊程度の戦力であった。 加えて多くの兵士は傷を負い、機能の停止した野戦病院から、命からがら脱出して来た者もあり、幸地・石嶺の戦線で敵の先鋒を破砕した勢いはなかった。
聯隊主力は首里撤退後、師団の第2収容部隊の任を負う。 聯隊は、首里包囲を企図する侵攻の間隙を抜け、那覇市街東方の真和志と兼城の間を南下したと考えられる。 目的地は東風平(村)の友寄、西方の饒波川の線にかけて収容陣地を占領する事であった。 しかし兵力の枯渇した状況下、自ら散兵線を築くは能わず東西に連携する部隊もなく、実際は友寄を頂点とした警戒陣地であったと考えられる。
同日、第62師団(石部隊)の残存兵力により、退却攻勢が実行された。 与那原より宮平まで西進した敵に対し、師団の歩兵と所在部隊(特設聯隊等)、及び軍砲兵の火力を集中し、与那原以北へ撃退する軍の計画であった。 しかし降雨と泥濘は、疲労の極みに在る部隊の機動を一層困難なものとし、進出は意の如くならなかった。 また第5砲兵団司令部(球9700)は津嘉山に位置し、この頃には各砲兵部隊との通信連絡も容易ではなく、適時適切な火力支援は困難であった。
退却攻勢は軍の企図には遠く、敵の西進を日1日、貴重な1日を稼いだのであった。
聯隊の退路
友寄の西方、饒波川北岸の宜次附近より望む首里・弁ヶ岳方面。
画像の中程、右へ横たわるのは津嘉山チカシモ―、津嘉山小学校が右端に見え、左手遠方には新川の焼却場の煙突と配水池など、弁ヶ岳附近が望める。
直線で5.5キロの距離だが、降雨泥濘の中、擾乱射撃を避け、完全軍装で傷を負った戦友を支えての機動は、非情かつ困難であったと想像される。

Posted by 酉 at 12:00│Comments(0)
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